放っておくとこわい性病の重複感染リスク

公衆衛生の整備や抗生物質の登場で、戦後数十年に渡って性病患者が少ない時代が続いてきました。
しかるに2011年ごろを境にして性病患者は急増する勢いを見せています。
一例をあげると梅毒の新規患者数の増加は深刻で、2018年には5000人の大台を突破すると推測されているほどです。
尤も梅毒に感染してもペニシリン等の抗生物質を使用した治療法が確立されているので、重症化することは稀とされています。
それよりも深刻な問題と考えられているのは、性病は重複感染のリスクが高いと言う点にあります。

特に梅毒を基礎疾患に持っていると、さらにHIVウイルスの感染率が高まるとされています。
その理由は梅毒などの性病に罹患していると幹部周辺の粘膜組織もダメージを受けるので免疫力が低下し、感染率の上昇を招くと推測されています。

仮にHIVウイルスに感染しても、初期感染症状は発熱や全身の筋肉の痛みや全身倦怠感など感冒症状に類似しているので見過ごされがちです。
やがてこれらの兆候から回復し、数年間程度は無症状のまま経過します。
ところが人のリンパ球などの免疫細胞に感染したHIVウイルスは、その間も増殖を続け確実に免疫機能の破壊を続けています。
免疫機能の低下が一定以上のレベルに達すると、常在菌による感染症発症などでエイズが発病することになる訳です。
エイズを発症すると致命的な合併症の併発にも関わる事態になるので、治療は難しくなり芳しい効果を得られないことも珍しくありません。

そこで命に関わる状況に至る前の段階で治療を開始すれば重症化を防止できるだけでなく、日常生活を送れる程度まで回復することが出来ます。
かつてはHIVウイルスに感染するとエイズの発症を座視するほかない時代もありました。
ただ現代では抗HIV薬が複数開発され、早期治療に取り組むことで天寿を全うすることが珍しくありません。
抗HIV薬による早期治療で通常の日常生活を送ることが出来るのです。

HIV感染を予防するためには

抗HIV薬の登場でエイズ発症予防を行ったり、仮にエイズを発症しても症状のコントロールが可能になったとはいっても、一生抗HIV薬の服用を継続することが前提になっています。
ひとたびHIVウイルスに感染すると、抗HIV薬の多剤併用療法を行っても体内からウイルスを根絶することは今の治療薬では不可能だからです。
めまぐるしく遺伝子変異する特徴を持つHIVウイルスに対して、ワクチン開発も遅々として進んでいないのが現状です。
そこで今取れるベストな対策は、HIV感染に余念を怠らないことにあると言えます。
それではどのような方法が対策になるのでしょうか。

HIVウイルスも梅毒トレポネーマも、主に性行為で感染を拡大させます。
感染した粘膜同士の接触という条件が整えば必ずしも性行為に限定されておらず、性交類似行為もリスク要因になっています。
つまり性病の性質は明白なので、まず実践するべきなのはコンドームの使用にあります。

感染した粘膜を被覆して直接接触を回避するので、性病伝染のリスクを相当程度軽減させるのは確かです。
しかしコンドームで覆われない部位に感染していれば、その部分と接触することでHIVウイルス等に感染する可能性は否定出来ません。
その点でコンドームを過信するのは禁物です。

そこで不特定多数の相手と性行為や性的接触を持つ人との性的関係を持つことには、慎重に臨むのも対策になる訳です。
また性器に発疹などを発見したら恥ずかしがらずに、皮膚科などを受診することが大切です。
既述のように梅毒などに感染していると、HIVウイルスをはじめとした各種の性病原因菌の感染率が高まるからです。
性病を甘く見ることなく、早期治療を心がけるようにして下さい。